無料ご招待 相続の事件ケース2

Aさんは、ご主人に先立たれ一人暮らしです。

子供は二人いますが、それぞれ独立して遠方で生活しています。

亡くなったご主人は、サラリーマンでしたが、ある程度出世し、

株券などを中心にある程度の資産を残してくれました。

資産の中心は、証券や株式なので証券会社の営業が、

Aさんの家に出入りするようになりました。

N社の営業担当は、Aさんに何かを持ち掛けることもなく、

数カ月に一度しか訪問しませんでした。

S社の担当は、毎週のようにAさんを訪問し、

いろいろな取引を持ち掛けるのですが、

孤独なAさんはS社の担当が来るのが楽しみでした。

一年を通してみると、

N社の担当はAさんの預けたお金で2割程度の利益を出しました。

S社の担当は、5割以上の損失を出しました。

N社の担当が何をやり、S社の担当が何をやったのかは、

収支報告書を見ればわかるのですが、

Aさんは、報告書の見方がわかりません。

N社の担当は、単純にハイリターンハイリスクのものと、

ミドルリターンミドルリスクのもの、

さらにローリターンローリスクのものを

うまく組み合わせた運用をしていただけでした。

S社の担当は、「飛ばし」と呼ばれる、

自分の手数料成績を上げるために、

運用益を無視して勝手に売ったり買ったりを繰り返していました。

結果、N社に任せたお金は着実に増え、S社に任せたお金は、

たった2年で2割程度まで減ってしまいました。

Aさんにとっては可愛いS社の担当ですが、

さすがにこれ以上運用を任せられないと電話を掛けたところ、

突然S社を辞めて、担当が変わったと言われました。

「あれだけ仲が良かったのに挨拶もないなんて…」

AさんはS社との取引を辞めました。

数年後、訪ねてきたのはS社の元担当者でした。

これ以後Bさんと呼びます。

「以前ご迷惑をかけたので、

お芝居を見た後美味しいお料理を食べに行きませんか?

特別に無料でご招待いたします」

イケメンの若いBさんにそう言われてAさんは、

ときめいてしまいました。

当日、Bさんが直接タクシーで家まで迎えに来て、

集合場所でバスに乗り換えました。

バスには、Aさんと似たような女性がたくさん乗っており、

それぞれに担当者がついていました。

バスでは、ビンゴゲームやじゃんけん大会で、

高価な景品をもらい皆さんテンションが上がりまくりのまま、

お芝居を見に行き、

「お食事の前に」高級着物の即売会に連れていかれました。

Aさんも最初は「おや?」と思ったものの、

「○○様ご契約いただきました!!」と会場で叫び声が上がる都度、

営業たんと全員で拍手してお礼を言われ、

まるで女王様のような扱いに、いつしか気分が酔い、

高価な着物を契約してしまいました。

(一生に一度の買い物だし100万円程度だからいいわね)

そう自分をごまかし、Aさんは食事を楽しみました。

それから、

毎月のように着物の即売会ツアーのお誘いを受けるようになり、

無料で旅行に行き、

着物の契約をするのがAさんの日常になりました。

Aさんの住市役所から、Aさんの娘に連絡が来たのは、

Aさんが着物の即売会に参加するようになって1年後のことでした。

「Aさんから生活保護の申請が来ておりますが、

家族の方がいる場合は、家族で面倒を見ていただきたく…」

Aさんの娘は慌てて、Aさんに連絡を取ろうとしますが、

電話も止められているようで連絡が付きません。

慌てて、実家に帰ったAさんの娘が見た光景は…

着ることもない着物に囲まれて廃人のように座っているAさんの姿でした。

Aさんの娘は、消費生活センターに相談しましたが、

「自己の意思で購入し、

クーリングオフ期間も過ぎているため対処方法がない」

と言われ、あきらめざるを得ませんでした。

Aさんは現在娘に引き取られて暮らしていますが、

Aさんは夫から受け継いだ財産をすべて失いました。

Bさんは最初からお金持ちの女性の名簿作りのためにS社に勤め、

名簿が完成した後退職し、高級着物販売会社を立ち上げたのでした。

今現在、これを防ぐ方法はありません。

家族がこまめに、接するしかないのです。

「無料」がおかしい、と思わなければならないのですが、

お年寄りは無料が好きですので簡単に引っかかるのです。

家族と同居なら早い段階で阻止できた問題です。

これは相続の事件というより、

相続以前の事件というべきかもしれません。

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