相続の事件 ケース1

みんないい人だったのに…

Aさんは軽度の認知症になったので東京の老人介護施設で暮らしています。

Aさんの子供は3人、長男は、外務省勤務なので外国にいます。

次男は、カナダで会社をしています。

長女は、北海道で暮らしています。

子供たちはそれぞれの生活があるため、なかなかAさんのお見舞いに行くことはできません。

それぞれ事情の許す限りで年に1度か2度Aさんのお見舞いに行きます。

長男は、転勤が多く任地は危険な国もあるため、Aさんとの同居はあり得ません。

次男と長女は、Aさんを引き取ろうとしましたが、Aさんは生まれも育ちも東京で極端に寒がりなので北海道やカナダは、考えられません。

一人で暮らす気ままさもあるため、Aさんは同居を拒否してきました。

Aさんの入所している老人介護施設の介護士Bさんは、Aさんが入所した時からの担当で、Aさんと気が合うため、Aさんにこまめに声をかけて親切にしてくれます。

ただし、Bさんは職務に忠実なだけで、特別にAさんに対して接しているわけではありません。

ところがある日、Aさんは、Bさんに相談を持ち掛けます。

「私の面倒を見てくれない子どもたちより、あなたの方がよほどに親切だから、Bさんに全財産を譲りたい」

実は、Aさんは資産家で数十億円の資産を持ちます。

Bさんは、半分冗談としてその場はやり過ごしました。

その日家に帰ったBさんはご主人にその話をします。

Bさんのご主人は(数十億あったら遊んで暮らせる…)と考え、Aさんの財産の手に入れる方法を模索します。

Bさんのご主人は、法律の詳しい友人Cさんに相談しました。

「ありますよ、人の全財産を手に入れる方法」

Cさんは、法的に可能で、信託法改正と同時に議論されてきたある方法をBさんのご主人に紹介します。

法律を専門に扱う士業でしたら気が付くことですが、Cさんは法律に詳しいだけの素人なのでそれが詐害行為に該当すると思っていません。

法的に可能だけれど実際には裁判で否決されると同時に、横領罪に問われる方法を、Bさんのご主人に紹介します。

Bさんのご主人は、その方法でAさんの預金以外の全財産を自分のものにしてしまいました。

この場合、Aさんの認知症は軽度なため「意志の表示が可能な状態」として、契約行為自体は、適法に処理されました。

信託契約を処理した司法書士はCさんとBさんのご主人の目論見まではわかりません。

契約は成立しBさんのご主人は、Aさんの預金以外の財産をすべて処分して、大金を手にします。

Bさんのご主人が行ったのは、信託財産の管理権の行使ですので、Aさんに処分された財産の納税義務が発生します。

Aさんの預金は残高がなくなり、施設の費用の引き落としができなくなりました。

Aさんの保証人は長男です。

長男のところに施設の利用料の請求が届くようになりました。

「どういうことですか?」

長男は問い合わせます。

「銀行の残高不足で利用料が引き落とされないので退所していただくことになりますが、転居先はどうされますか?」

「自宅があるはずですが」

「処分されたようですね」

というような会話があり、長男は初めて全財産が亡くなっていることに気が付きます。

長男は友人の弁護士に調査を依頼します。

結果、細かい内容は法律に触れてしまうため紹介しませんが、

Bさん夫婦は全財産差し押さえの上刑務所に、

Cさんも共犯で全財産差し押さえの上刑務所に,、

Aさんの入所していた施設とは管理責任で係争中、

Aさんの子供たちは、監督責任のなすり合いで不仲になり、

Aさんの財産は不動産等は戻ってこず、

財産は半分以下に目減りし、現金だけ戻ってくるということで、

Aさんの

「私の面倒を見てくれない子どもたちより、あなたの方がよほどに親切だから、Bさんに全財産を譲りたい」

という一言が、誰も得をせず、すべての人を不幸にしてしまったというお話です。

信託は新しい法律なので「自称専門家」に任せるとこのような結果になることがあります。

お気をつけください。

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